ホウレンソウ 「寒締め吾郎丸」
昔ながらの葉形に作業性と収量性を兼ね備えた
おいしい秋冬まき用ホウレンソウ
特性
1. べと病R-1~10、15に抵抗性がある。
2. 切れ葉の東洋系品種で、濃緑色、平滑で葉先がややとがり、深く欠刻が入る。
3. 葉枚数が非常に多くなるため、収量性が高い。
4. 葉柄が極めて柔軟なため、厳寒期に開張型になっても、収穫時に葉折れしにくい。
5. あくが少なく甘みがあり、食味がよい。冬季に収穫すると、さらに甘みがのる。
適応性
一般地・暖地は9月中旬~10月中旬まき、高冷地・冷涼地は9月中旬まきが適します。寒締め栽培の場合、一般地・暖地は10月上~中旬まき、高冷地・冷涼地は9月中~下旬まきが適します。
土づくりと施肥
完熟堆肥の施用と深耕は、ホウレンソウ栽培の基本です。連作障害を回避し、高品質のホウレンソウを生産するために、良質な土づくりはを普段から心がけます。
播種
条間15~20cm、株間5cmのすじまきにします。他の秋まき品種と同様に、この栽植密度が基本ですが、株間を広げることでさらに葉枚数が増え、株が太ります。株間を調整することで、出荷形態に合わせることができます。火山灰土から水田裏作まで幅広く栽培できますが、排水不良の畑では高畝にしてください。
管理
通常の秋まき品種と同様の管理でよいです。特に生育に水を要するタイプではありません。ハウス栽培では乾き過ぎないよう灌水する程度で十分です。一般地・暖地でも露地無被覆で寒さに当てると非常においしいホウレンソウが収穫できます。
病害虫防除
秋口はシロオビノメイガ、ハスモンヨトウなどが問題になります。被害が拡大する前に、早期防除を徹底します。ハウスの越冬の作型では、ケナガコナダニの被害が近年、特に増加しています。被害に気付いてから防除しても手遅れの場合がほとんどです。過去に発生が見られた圃場や作型では、必ず生育初期に予防のための薬剤散布などを行ってください。
収穫
寒さのピークを越え、暖かくなってくると、再び生育を始め、一気に糖度が下がってしまいます。とり遅れのないように注意してください。
通常出荷も可能ですが、現在、市場に流通している主流品種とは大きく形状が異なるので、差別化に適します。葉枚数が非常に多いため、一本一本の茎が太くなり過ぎることがありません。また、すじが残らず食べやすく、東洋種の長所であるあくの少なさと相まって、本品種の食味を向上させています。寒さにあうと、甘みが増して、より一層おいしくなります。横詰めスタイルの「ちぢみホウレンソウ」とは異なり、縦詰めスタイル、あるいは結束での「寒締めホウレンソウ」の出荷もできます。
べと病に関する注意
※近年、ホウレンソウべと病のレース分化が著しく早まっています。いつ、さらなる新レースが発生してもおかしくない状況です。品種の抵抗性だけに頼らず、予防のための薬剤散布など化学的防除や、適切な換気など耕種的防除を組み合わせるよう心がけてください。