ホウレンソウ 「カイト」
萎凋病耐病性、極濃緑の極晩抽多収ホウレンソウ
特性
1・極晩抽性の交配種で、べと病R-1~9,11~16,18,19に抵抗性、萎凋病に耐病性を持つ。
2・極濃緑、比較的平滑な広葉で、葉先がややとがり、浅く欠刻が入る。
3・葉枚数が多い上に葉軸が太く充実し、収量性が高い。
4・極晩抽性品種としては、立性で草姿がよく、葉軸が折れにくいため収穫作業性に優れる。
5・収穫期に達してからの生育速度があまり早くならないので、在圃性が高い。
6・収穫後の品質劣化が少なく、店持ちが非常によい。
7・高冷地の6月まきに特に適している。
適応性
本品種は抽だいで困っている産地向けに特化した品種です。極晩抽品種なので、生育自体はゆっくりとなります。「トリトン」と比較すると、通常収穫まで4~5日余計に日数がかかります。その代わり、在圃性は極めて高いものがあります。大面積での栽培でどうしても収穫に追われてしまう方にも向いています。 極晩抽品種一般にいえることですが、本品種も高温と乾燥は苦手です。夏に気温が高くなる一般平坦地の雨除けハウス栽培では生育が遅延しやすく、あまりおすすめできません。高冷地でも土壌が極端に乾燥すると生育が遅延する場合があります。生育期間中は適度の土壌水分を維持してください。乾きやすい圃場ではこまめに灌水するようにします。夏場に問題になる萎凋病に対しては「トリトン」と同程度の耐病性を持っています。
畑づくり(圃場準備)
完熟堆肥の施用と深耕は、ホウレンソウ作りの基本です。連作障害を回避し高品質のホウレンソウを生産するために、普段から土作りに心がけます。萎凋病に対して耐病性はありますが、連作圃場の高温期の作型では土壌消毒を行うことが望まれます。
播種
条間15~20cm、株間5~7cmのスジまきとします。高温期は遮光資材などを利用して地温を下げ、発芽しやすいようにします。
管理
徒長しない品種なので、通常よりやや圃場水分が多くなるように管理して、スムーズに生育を促す栽培が適します。生育が遅延することがあるので、生育途中での極端な乾燥は避けるようにします。気温の高い時期は生育期間中も遮光資材を利用することで栽培管理がかなり楽になります。
病害虫防除
アブラムシ、アザミウマなどが問題になるので早期防除を徹底します。
収穫
収穫期に入ってからの在圃性は非常に高いですが、ちょうど気温の高い時期にあたるので、あまりとり遅れると品質が劣化することがあります。適期を逃さず収穫するよう心がけます。
べと病に関する注意
※近年べと病のレース分化が著しく早まっています。いつ更なる新レースが発生してもおかしくない状況なので、抵抗性の品種を使用している場合でも決して安心せず、予防的な薬剤散布や適切な乾季など耕種的防除を心がけてください。