ハクサイ 「冬月90」
耐寒性が極めて優れる厳寒期どり中晩生品種
特性
● 秋まきで播種後90~95日程度で収穫できる中晩生品種。
● 外葉は濃緑色、肉厚で耐寒性が極めて強い。
● 頭部はよく包被する。草姿は立性で結束の作業性が優れる。
● 球形は尻張りのよい円筒形で球長30cm前後、球重3.0kg前後になる。
● 球内色は濃く鮮やかな黄色で、カットしたときの見栄えがよい。甘みがのりやすく、越冬後の食味、品質が優れる。
● ゴマ症や石灰欠乏症によるチップバーンなどの生理障害に強く、栽培しやすい。
● べと病に耐病性で、中肋べとによる品質低下に強い。また、根こぶ病にも耐病性がある。
適応性
一般地の8月下旬まき12月中旬〜2月どり、暖地の9月上中旬まき12月中旬〜2月どりに適します。
肥培管理
定植前に元肥を施用します。土質、気候によって異なりますが、窒素成分で10a当たり15〜18kgが目安となります。有機肥料、微量要素材を併せて施用してください。追肥は窒素成分で10a当たり2〜3kgを2〜3回に分けて施します。1回目は定植10日後ごろに株元に施します。2回目は定植30日後ごろ(結球始め)に畝間に施し、除草を兼ねて中耕します。
播種と育苗と定植
8月、9月まきの栽培では、本葉3枚程度で定植するように心がけます。苗の管理は徒長防止のため高床にします。灌水は天候を見ながら、過剰な灌水、午後2時以降の灌水は徒長の原因となるので避けましょう。老化苗を使うと定植後の活着、生育が悪くなり石灰欠乏症の原因となるので注意します。
定植遅れによる葉枚数の不足は生育終盤の抽だい、重量不足の原因となります。また、定植後の極度な低温や乾燥はわき芽発生の原因となるので注意が必要です。
病害虫防除
暑い時期の育苗ではハイマダラノメイガ(シンクイムシ)、コナガ、ヨトウムシの被害が発生しやすくなります。苗床の入口には寒冷紗等を張って極力害虫の侵入を防ぎます。定植後は、害虫が大きくなり農薬が効きにくくなる前に早めの防除を心がけてください。性フェロモンを利用したフェロモントラップを圃場に設置するのも減農薬につながる技術として有効です。
生理障害対策
石灰欠乏症等の生理障害は、圃場に十分な石灰、ホウ素があっても発生します。原因としては、老化苗の定植、過剰な施肥、過湿、結球期の極度な乾燥、気温の変化などで根の働きがこじれて必要成分を十分吸収できない際に発生します。これにはハクサイの根張りをよくすることが大切です。圃場へ「バイテクバイオエース®」等の有機質肥料や、完熟堆肥を投入し健全な土づくりを心がけることによって、生理障害の発生を軽減させることができます。また、有機質に富んだ圃場のハクサイは風味がよく、品質の向上にもつながります。
収穫
順調に生育が進めば12月中には中身がある程度締まり収穫できる状態になるので、耐寒性を生かし1〜2月まで適宜収穫していきます。過度な収穫遅れは、石灰欠乏症や球内の退色、抽だいによる品質低下の原因となるので注意してください。