ハクサイ 「ゆめぶき506」
石灰欠乏症に強い早生品種
特性
● 春まきで定植後63日、秋まきで播種後67日程度で収穫できる早生品種。
● 「ゆめぶき502」より大柄になる晩抽性品種。高冷地の春まきや一般地の冬まきトンネル栽培で能力を発揮する。
● 外葉は鮮緑色で頭部はよく包被する。球形は胴張りする砲弾形で、球長28cm前後、球重3.0kg前後になる。
● 球内色は全体に黄色が回り、カットしたときの見栄えがよい。肉質がやわらかく、品質がよい。
● 晩抽性があり結球性も安定しており、幅広い作型で利用できる。
● 根こぶ病に耐病性がある。ゴマ症や、石灰欠乏症によるチップバーンやアンコなどの生理障害にも強く、栽培しやすい。
適応性
本品種は高冷地の3月中旬から4月下旬まき栽培(加温または保温による育苗が必要)で利用できます。温暖地、暖地では、1月中下旬から3月上旬播種の加温育苗、トンネル栽培、8月中旬~9月上旬播種の秋どり栽培で利用できます。
肥培管理
定植前に元肥を施します。窒素成分で15~18kg/10aが標準となります。有機肥料、微量要素材を併せて施してください。追肥は窒素成分で2~3kg/10aで2~3回に分けて施します。1回目は定植10日後程で株元に施します。2回目は定植20~30日後ほど(結球始め)で畝間に施し、除草も兼ねて中耕します。
播種と育苗と定植
春まき栽培では、育苗温度13℃以上を目安とし、約1カ月保温育苗をします。徒長した苗を作らないよう本葉4~5枚時までは灌水を控えめにします。8月、9月まきの栽培では、本葉2~3枚時に定植するように心がけます。苗の管理は徒長防止のため高床にします。灌水は天候を見ながらになりますが、過剰な灌水、午後2時以降の灌水も徒長の原因となるので避けます。老化苗を使うと定植後の活着、生育が悪くなり石灰欠乏症の原因ともなるので注意してください。定植後の極度な低温や乾燥も脇芽発生の原因となるので注意が必要です。
病害虫防除
暑い時期の育苗ではハイマダラノメイガ(シンクイムシ)、コナガ、ヨトウムシの被害が発生しやすくなります。苗床の入口には寒冷紗などを張って極力害虫の侵入を防ぎます。定植後は、害虫が大きくなり農薬が効きにくくなる前に早めの防除を心がけてください。性フェロモンを利用したフェロモントラップを圃場に設置するのも減農薬につながる技術として有効です。
生理障害対策
石灰欠乏症の生理障害は、圃場に十分な石灰、ホウ素があっても発生します。原因としては、老化苗の定植、過剰な施肥、過湿、結球期の極度な乾燥、気温の変化などで根の働きがこじれ、必要成分を十分吸収できない際に発生します。これにはハクサイの根張りをよくつくることが大切です。圃場へ「バイテクバイオエース®」などの有機質肥料や、完熟堆肥を投入し健全な土づくりを心がけることによって、生理障害の発生を軽減させます。また、有機質に富んだ圃場のハクサイは風味がよく、品質の向上にもつながります。
収穫
頭部を押さえて硬くなり中身がある程度しまっていたら収穫です。収穫遅れは、石灰欠乏症や球内の退色によって品質が低下しますので適期収穫を心がけてください。