ハクサイ 「ちよぶき85」
馬力があり、耐病性に優れる中生品種
特性
●秋まきで播種後80〜85日程度で収穫できる中生品種。
● 外葉は鮮緑色で頭部はよく包被する。草姿は立性で結束の作業性が優れる。
● 球形は胴張りする砲弾形で球長30cm前後、球重3.0kg前後になる。
● 球内色は全体に黄色が回り、カットしたときの見栄えがよい。肉質はやわらかく、甘みがのりやすく、食味、品質がよい。
● 結球性が安定しており、そろいがよく収穫作業性が優れる。
● ゴマ症や石灰欠乏症によるチップバーン、アンコなどの生理障害に強く、栽培しやすい。
● 根こぶ病には従来よりも幅広いレースに耐病性があり、べと病にも耐病性がある。
適応性
本品種は一般地の8月下旬まき12~1月収穫、暖地の9月上中旬まき12~1月収穫の栽培で利用できます。べと病耐病性で、根こぶ病には幅広い耐病性を示します。また、石灰欠乏症にも強く、根張りも強いので水田裏作などの重い土壌にも適応します。
肥培管理
定植前に元肥を施用します。10a当たり窒素成分で15~18㎏を標準とします。有機肥料、微量要素材を併せて施用してください。追肥は10a当たり窒素成分で2~3㎏で2~3回に分けて施します。1回目は定植10日ほど後で株元に施します。2回目は定植20~30日後(結球始め)で畝間に施し、除草も兼ねて中耕します。
播種と育苗と定植
8月、9月まきの栽培では、本葉3枚程度で定植するように心がけます。苗の管理は徒長防止のため高床にします。灌水は天候を見ながらになりますが、過剰な灌水、午後2時以降の灌水も徒長の原因となるので避けます。老化苗を使うと定植後の活着、生育が悪くなり石灰欠乏症の原因ともなるので注意します。定植後の極度な低温や乾燥もわき芽発生の原因となるので注意が必要です。
病害虫防除
暑い時期の育苗ではハイマダラノメイガ(シンクイムシ)、コナガ、ヨトウムシの被害が発生しやすくなります。苗床の入口には寒冷紗などを張って極力害虫の侵入を防ぎます。定植後は、害虫が大きくなり農薬が効きにくくなる前に早めの防除を心がけます。性フェロモンを利用したフェロモントラップを圃場に設置するのも減農薬につながる技術として有効です。
生理障害対策
石灰欠乏症などの生理障害は、圃場に十分な石灰、ホウ素があっても発生します。原因としては、老化苗の定植、過剰な施肥、過湿、結球期の極度な乾燥、気温の変化などで根の働きがこじれ、必要成分を十分吸収できない際に発生します。これにはハクサイの根張りをよく作ることが大切です。圃場へ「バイテクバイオエース」などの有機質肥料や、完熟堆肥を投入し健全な土づくりを心がけることによって、生理障害の発生を軽減させます。また、有機質に富んだ圃場のハクサイは風味がよく、品質の向上にもつながります。
収穫
頭部を押さえて硬くなり中身がある程度締まっていたら収穫です。収穫遅れは、石灰欠乏症や球内の退色によって品質が低下するので適期収穫を心がけます。