ネギ 「初夏扇2号」
極晩抽性で草姿コンパクト。耐暑性に優れる一本ネギ
特性
1.極晩抽性で「春扇」および「初夏扇」よりも抽苔が遅く、一般地では5月上旬までの出荷が可能※
2.「春扇」および「初夏扇」より肥大がゆっくりな中生品種で、伸びすぎや太りすぎる心配が少ない。在圃性に優れる。
3.襟部の締まり・葉鞘部の締まりに優れ、晩春や初夏の温度上昇期でも耐暑性があり、品質が低下しにくい。
4.葉がコンパクトで風に強く、管理しやすい。皮むきがしやすいため、出荷効率がよい。
5.「春扇」や「初夏扇」と比較してさび病、葉枯病などの葉の病害にやや強い。
※晩抽性については、気象や栽培条件によって差が生じることがあります。
適応性
温暖地の春どりおよび初夏どりに適応し、中生品種として作型後半の収穫に適します。収穫時期が3~5月上旬までの春どり作型の中では、最も晩抽性が必要とされる4月下旬~5月上旬どりに適します。春どり全般では、太りがよく、収量性の高い「春扇」、太りと在圃性のバランスに優れる「初夏扇」を主力で使用することをおすすめします。 一方、トンネルなど被覆資材を使用する初夏どり(10月まき6月どり)でも適応性がありますが、太りはゆっくりのため、収穫時期は6月下旬ごろになります。収量性は「初夏扇」にやや劣りますが、耐暑性が優れるため、6月下旬~7月上旬収穫で締まりよく重量感のあるネギが期待できます。一方で、9月まきなど無理な早まきでは、抽だいしやすいので、早まきしないよう注意が必要です。
栽培:春どり
栽植密度は株間2~2.5cmが基準です。春どりでは定植が高温期に当たるので、排水性のよい圃場を選定し額縁排水などの排水対策を行います。定植後、活着するまでは灌水を行います。肥培管理は慣行の春どり栽培に準じますが、元肥はやや抑えて小まめな追肥で仕上げると生育が安定します。土寄せは太りを確認しながら行います。抽だいは生育期間中の肥切れや管理の遅れ、冬の温度や水分状況の影響を受けます。3月以降にネギの内部葉数および花芽位置を確認し、おおよその抽苔時期を予測しておくと安心です。
栽培:初夏どり
栽植密度は株間2.5~3cmが基準です。9月下旬などの無理な早まき、被覆資材の保温力が不十分な場合や換気が強すぎる場合は、抽だいが起こりやすくなるので注意します。初夏どりでは栽培期間が短いため、元肥をやや多めに施肥します。4月以降の適温期に生育を促進させますが、「春扇」のように太りは早くないので、太りを優先させながら土寄せを行います。収穫では適期収穫を心がけます。
病害虫防除
葉の病害ではさび病、べと病に注意が必要です。収穫期にあたる春~初夏に特に発生しやすいので、発病前から予防的に防除を心がけます。土壌病害では白絹病と軟腐病に注意します。これらの病害は特に6月以降の高温期に発生が顕著となるので、春どりでは定植後~9月までの防除、初夏どりでは5~6月の土寄せ時の防除を確実に行うことが大切です。