ネギ 「初夏扇」
晩抽性があり、耐暑性のある合黒系一本ネギ
特性
1.春どりおよび初夏どりに適する合黒系一本ネギ。
2.太りがよく襟締まりのよい晩抽品種。「春扇」よりも抽台が遅い。
3.草勢は「春扇」よりややおとなしく、過肥大や襟割れの発生が少ないため在圃性が優れる。
4.葉色が濃く草姿はコンパクト。葉は立性で機械管理作業の適応性が高い。
適応性
春どりおよび初夏どりに適します。一般地の春どりでは6月播種の4月どりにおいて特に能力を発揮します。「春扇」ではやや難しい4月下旬〜5月初旬どりがおすすめです。初夏どりでは6〜7月どりに適します。その中でも10月上旬に播種し、12月中旬〜3月下旬までトンネルを使用する6月どりに特に適します。
栽培:春どり
播種密度は株間2〜2.5cmが基準です。春どりでは定植期が高温期に当たるので、排水性のよい圃場を選定し額縁排水などの排水対策を行います。定植後、活着するまでは灌水を行います。肥培管理は慣行の春どり栽培に準じますが、元肥はやや抑えてこまめな追肥で仕上げると生育が安定します。土寄せは太りを確認しながら行います。抽苔は生育期間中の肥切れや管理の遅れ、冬の温度や水分状況の影響を受けます。3月以降にネギの内部葉数および花芽位置を確認し、およその抽苔時期を予測しておくと安心です。
栽培:初夏どり
播種密度は株間2.5〜3cmが基準です。無理な早まき、被覆資材の保温力が不十分な場合や換気が強すぎる場合は、抽苔が起こりやすくなるので注意します。 初夏どりでは栽培期間が短いため、元肥をやや多めに施肥します。4月以降の適温期に生育を促進させますが、「春扇」のように太りは早くないので、太りを確認しながら土寄せを行います。収穫では適期収穫を心がけます。
病害虫防除
葉の病害ではさび病、べと病に注意が必要です。収穫期にあたる春~初夏に特に発生しやすいので、発病前から予防的に防除を心がけます。土壌病害では白絹病と軟腐病に注意します。これらの病害は特に6月以降の高温期に発生が顕著となるので、春どりでは定植後〜9 月までの防除、初夏どりでは5〜6月の土寄せ時の防除を確実に行うことが大切です。