ブロッコリー 「ウインタードーム」
品目 | ブロッコリー |
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原産地 | 地中海沿岸 |
科・属名 | アブラナ科アブラナ属 |
受賞歴 | ●第65回全日本野菜品種審査会一等特別賞受賞 |
1-2月に高品質花蕾が収穫できる、べと病に耐病性の晩生品種
特性
● 播種後150日前後で収穫できる晩生品種。
● 草姿は立性で草勢はやや強い。
● 花蕾は極小粒で濃緑色、ボリュームのある極ドーム形。
● 芯葉が花蕾を包み込む性質があり、アントシアンの発生が非常に少ない。
● 葉のべと病に耐病性があり、組織内べと病の発生も非常に少ない。
適応性
一般地では、8月10日~8月20日ごろ、暖地では8月15日~8月30日ごろに播種を行い、1月~2月に収穫が可能です。アントシアンや組織内べと病の発生が少なく、厳寒期に安心して栽培できます。 ※厳寒期の栽培は、年内の気候によって収穫期が左右されやすい作型です。本品種は温度適応性が高いため、暖冬の影響で収穫期が前進した場合にも、秀品を収穫することができます。
作付計画
厳寒期の安定収穫のためには、計画的に作付けを行うことが重要です。1~2月収穫の作型は気象の影響を受けやすく、暖冬時には年内から収穫がスタートする場合があり、一方で、極端な乾燥や低温が続くと、生育が鈍る場合があります。このような作型での安定した連続出荷のためには、温度適応性が高い特性を生かし、適切な播種期内で前半と後半の2回に分けて播種を行うことを推奨します。とくに遅まきの作型では、灌水を念頭に置いた圃場での作付けを計画することがポイントです。
畑づくりと施肥設計
根張りをよくするため、排水のよい適度に水分のある圃場を選び、良質堆肥を施します。排水が悪い圃場では、排水溝の設置や高畝にするなど排水対策をしっかり行います。総施肥量(元肥と追肥)は、10a当たり成分で窒素20kg、リン酸25 kg、カリ20 kg程度を標準とします。ただし花蕾品質は施肥技術に影響されるので、土質や栽培時期によって施肥設計を変える必要があります。特に、厳寒期の栽培は肥料が効きにくい作型となるので、遅まきの作型ほど早めの追肥の施用を行うことが大切です。栽培期間が長い作型のため、植物の様子を見ながら、必要に応じて施肥を行うと花蕾肥大が促進されます。
播種と育苗
通風、日当たりのよい場所を選び、播種後十分に灌水して発芽まで乾燥させないように管理します。とくにセル育苗では、徒長を防ぐため夕方には床土の表面が乾く程度に灌水することがポイントです。定植前に十分に馴化しておくと、活着がスムーズになります。
定植および定植後の管理
栽植密度は、10a当たり約4000本を標準としますが、栽培時期によって株の大きさが異なるので多少の増減を行います。厳寒期の秀品収穫のためには、年内のうちに十分な草勢を確保する必要があるので、セル育苗による若苗定植と灌水などによる活着促進を心がけます。また、立性草姿のため風雨による倒伏が懸念されるので、活着後に除草と排水対策を兼ねて中耕・土寄せを行います。収穫期に極端な乾燥状態が続く場合は、生育の遅延が見られることがあるので、灌水や畝間灌水を行って、生育を促進させることが安定収穫のポイントです。
※十分な草勢を確保するため、9月中の定植を推奨します。万が一、10月以降に定植がずれ込む場合は、早めの追肥や中耕などによって生育を促進します。定植遅れなどによって十分な草勢が確保できない場合、花蕾粒が極端に粗くなるなどの品質低下に繋がりやすいので、注意してください。
病害虫防除
本品種の定植期となる9月は台風などの襲来が懸念されるので、黒腐病などの各種細菌病の予防的防除を心がけます。また、葉のべと病に耐病性をもち、組織内べと病の発生も非常に少ない品種ではありますが、黒すす病や菌核病などカビ類による病害も発生しやすい作型なので、適切な薬剤防除による予防をお願いします。
収穫
年内の気候が暖かく、適度に降雨がある場合、収穫期が早まることがあるので、定期的に圃場巡回を行います。急激に気温が上昇する2月中下旬以降は、花蕾肥大の速度が極端に早まるので、計画的な収穫に心がけます。