ソラマメ 「駒栄」
3粒莢が多く、むき実の色が極濃緑で、食味のよい中早生品種
特性
1. 秋まき露地トンネル・マルチ栽培も可能ですが、とくに低温を必要としない性質を生かした春まき栽培に適します。
2. 春まき栽培では育苗中の温度管理の違いによる雌花着生のバラつきが出にくく着莢が安定し収量が安定します。
3. 莢はやや長く濃緑です。3粒莢主体ですが4粒莢も比較的多いです。
4. むき実の色は極濃緑な一寸ソラマメです。ゆで上がりの色がよく食味もよいです。
5. 草勢は中程度で草丈はやや低く、耐倒伏性にすぐれ、分岐数はやや少ないです。
6. 中早生品種です。開花後の成熟日数は「打越一寸」よりやや晩生となりますが開花が早いので収穫期は逆に早いです(春まき栽培では1週間程度早く収穫できます)。
適応性
土壤適応性は広く、保水力のある埴壤土で耕土が深く、土壤酸度はpH6.5前後が適します。また、開花から着莢最盛期に乾燥すると莢の肥大がわるくなるので地下水のやや高い畑がよいです。生育適温は15~20℃で、本葉5~6枚程度までは耐寒性は比較的強いですが、以後だんだん弱くなります。
畑づくり(圃場準備)
連作を嫌うので3~4年の間隔をあけて輪作します。ソラマメは根瘤菌による窒素供給があるので窒素肥料はやや少なめとします。元肥は緩効性肥料を主体に10a当たり成分で窒素8~9㎏、リン酸12㎏、カリ8㎏、堆肥2t、苦土石灰120㎏を標準とします。水田裏作では高畝で排水をよくし、施肥量は2割程度増やします。追肥は開花少し前の整枝時と着莢最盛期に窒素、カリを各2㎏/10a程度施用します。
播種
発芽適温は20℃前後です。排水のよい無病の播種床または9㎝ポットに播種します。水に浸漬して播種すると発芽がわるくなるので、浸漬せずに直接オハグロ部分を下にして種子が隠れる程度の深さにまき、十分灌水して敷ワラや新聞紙などで覆い乾燥を防ぎます。
定植および定植後の管理
定植時の苗の大きさは、本葉2~3枚が適期で、大苗になると活着がわるくなります。
収穫
莢に光沢が出てきて縫合線が黒褐色に変わり、莢が下向きになり、オハグロ部がわずかに黒いスジが見えるころが適期です。
各作型の栽培のポイント
1.春まき栽培
2月上旬~中旬に無加温ハウスで9㎝ポットに播種、育苗します。定植圃場の環境にならし活着を促進するため、発芽後は徒長しないようになるだけ低温に当てて、3月上旬ごろに本葉2~3枚で定植します。地温が低い時期なので老化苗は活着が不良となるので注意します。春まきは分岐数が少ないので、栽植距離は120㎝×35~40㎝で10a当たり約2,300株が標準です。ソラマメは低温性作物ですから収穫期が高温になると着莢数が少なくなり収量が低下するので、できるだけ早まきします。
2.暖地の露地栽培
10月中・下旬に播種します。定植期は地温が高くウイルス病の発生が多い時期なので、地温の上昇を抑えアブラムシの忌避効果のなるミラーマルチなどを使用します。さらに、アブラムシ予防のため防虫テープや殺虫剤の植え穴処理、薬剤散布などで防除に努めます。栽植密度は130~150×40~50㎝で10a当たり約1,700本です。
3.普通栽培(一般地)
播種は10月上旬で定植は10月下旬です。栽植密度は150×40~50㎝で10a当たり約1,500本です。早まきするとウイルス病の発生が多くなるとともに、年内に生育が進みすぎると、1月ごろには蕾が見られ寒害を受け、芯止まりが多くなります。開花初期は低温で落花しますが3月になり温度の上昇とともに着莢してきます。