文/料理研究家・管理栄養士 岩﨑啓子
アブラナ科の野菜のひとつで、原産地は地中海沿岸といわれています。
日本へは明治時代に導入されましたが、本格的に需要が伸びたのは1980年代から。栄養価の高さと用途の多様さなどで需要が増え、生産量は増加傾向にあります。
現在は品種改良が進み、一年を通じて国産のブロッコリーが出回っています。
体内でビタミンAに変わるβ-カロテンや、ビタミンB群・C・Eなどを含む緑黄色野菜。鉄分をはじめ、ミネラルも豊富に含みます。
[食品成分表(可食部100gあたり)]
※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」準拠
エネルギー | 37kcal |
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たんぱく質 | 5.4g |
無機質 |
カリウム…460mg カルシウム…50mg 鉄…1.3g ビタミンA(β-カロテン当量)…900㎍ ビタミンB1…0.17mg ビタミンB2…0.23mg 葉酸…220㎍ ビタミンC…140mg |
食物繊維総量 | 5.1g |
鼻やのどなどの粘膜を健康に保つ助けとなるβ-カロテンや、免疫機能を整え、肌を健康的に保つうえで有効に作用するビタミンCが豊富に含まれています。
貧血予防に効果のある鉄のほか、DNAの合成に関わる葉酸も含んでいます。葉酸は、細胞の新生に重要な役割を担うため、妊娠の可能性のある女性や妊婦さんにはとくに重要とされています。
また最近注目されているのが、抗酸化作用があるといわれる成分「スルフォラファン」。生活習慣病やがんの予防に効果的であると期待されています。
・β-カロテンを効率よく摂取するには、油と組み合わせた調理がおすすめです。また、ビタミンCは水に溶けやすいので、ゆですぎに注意。電子レンジで加熱したり、少なめの水に油を少し垂らして蒸しゆでにするほか、オリーブ油と蒸し焼きにしてもよいでしょう。スープにするのも、汁ごといただけるのでよいですね。
・ビタミンCには、重要なたんぱく質である「コラーゲン」の合成を助ける役割があります。肉や魚、卵などのたんぱく質と組み合わせると体内でコラーゲンの合成に関与し、血管・骨 皮膚・筋肉などをつくります。
・ブロッコリーに含まれる鉄は植物性のため吸収率が低いですが、動物性のたんぱく質と一緒に食べると吸収率が高まり、効率的に摂取できます。
・茎の部分は捨てがちですが、加熱すると甘みが増しておいしくなり、食物繊維も含まれています。皮をむいて、すが入っていたらその部分は除き、ムリなくムダなく利用しましょう。