棚づくりにし、日よけと観賞で涼を楽しみます。果実は長さ40~60cmになり、たくさんつきます。観賞のほか、ヘチマ水や繊維をスポンジ代わりに利用できます。
ここでは「緑のカーテン」を夏場(8月~9月)に作ることを目的とし、横浜地域(温暖地)での栽培を基準にしています。各地域各植物標準の育て方とは異なる部分がありますので、あくまでも目安としてください。(植物は生き物ですので地域や条件によって差が出ます。)とくに苗を購入される場合は販売時期と合わないことがありますのでご注意ください。 プランターは65×30 ×35cm(土の容量約35リットル)サイズを基準としています。
栽培環境 | 日当たり、風通し、水はけ、水もちのよい肥沃な土壌で栽培します。水分を好みますが、過湿には弱いので、高畝にして(盛り土して)栽培します。完熟堆肥やバイオエースなどの有機物を積極的に施して、根がよく張る土づくりをします。植えつけの1か月くらい前に植え穴を掘り、1㎡当たり完熟堆肥約3kgと有機配合肥料80gの元肥、苦土石灰150g入れて、土を盛り上げておきます。 |
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タネまき | 発芽温度(地温)が25~30℃と高い。タネに傷をつけなくてもよく発芽します。水分が多いとタネが腐るので、水やりは控えめにします。25~30℃を確保できる状態を作り、3号(9cm)ポリ鉢に3,4粒タネをまきにするか、遅霜の心配がなくなってから4,5粒ずつ直まきにします。本葉1~2枚のころに1本に間引きます。 |
植えつけ (定植) |
根を広く張るので、耕土が深く通気性があり、適度な湿り気があるところを好みます。ヘチマは熱帯原産なので早植えは禁物です。温度の上昇してくる5月上旬ごろからが植えつけの適期となります。 ヘチマの着花は、短日で早くなり、長日で遅くなります。日長が長くなる6月になると、着花がとくに遅れてしまいます。なるべく5月中旬までに植えつけるようにします。 本葉が4~5枚になるころを目安として株間約90cmで植えつけます。65cmほどの深型プランターでは1株植えが目安です。 鉢土の上に少し土がかかるくらいで植えつけ、深植えしないように注意します。 |
管理のポイント (栽培のポイント) |
下方の側枝はかきとり、主枝を支柱に誘引します。丈夫な棚やフェンスに導き、子づるを四方に伸ばします。追肥は株のようすを見て適宜施します。蜜腺があり、虫が多く集まるため、自然交配で十分です。土壌水分が多いと草勢が強くなり、雌花が正常に発育しません。草勢が強いときには成長点を摘芯するようにします。 確実に果実をつけるためには、人工受粉をします。花は1日花で、雌雄異花です。人工受粉は、花が新鮮な午前10時ごろまでに行います。優良なヘチマを得るには、1株15果程度が適当です。 |
施肥 | 小まめに行い、着果を確認してからは多めにします。 |
水やり | 着果を確認してから多めに水やりします。 |
病害虫 | ヘチマは病害に強い作物ですが、日当たりと風通しをよくして、べと病や斑点病などが発生しないようにします。つる割病は農薬では防除できないので、ヘチマだけでなくヒョウタンやニガウリなどのウリ科作物の連作をさけます。完熟堆肥やバイオエースなどの有機物を積極的に施して、根がよく張る土づくりをし、根を健全に育てれば、地上部も健全に育ち、病害にも強くなります。アブラムシは急速に増加するので早期発見に努め、捕殺するなど早期に防除します。 |
楽しみ方 | ヘチマたわし:開花後50日くらいたち、果梗が褐変してきたら収穫します。収穫したヘチマを15~20日間水に浸し、外皮や内部を腐らせます。そのままではヘチマが浮き上がってくるので、中ぶたをして重石をのせます。水を毎日取り替えないと悪臭がし、繊維が白くでき上がりません。外皮をはぎとり、たたいたり、水中でもみ洗いしてタネや果肉をとり除き、さらに天日でよく乾燥させます。 ヘチマ水:生育旺盛な8月中旬~9月中旬に、地際から50cmぐらいのところで茎を斜めに切り、根から吸い上げられてくる樹液を、よく洗った一升瓶などにとります。瓶は穴を掘って埋め、口は雨水やゴミが入らないようにアルミホイルなどでふさぎます。直射日光でヘチマ水の温度が上がらないように、瓶を新聞などで覆います。ヘチマ水は毎日回収し、グリセリンなどで調整します。 |
収穫・保存・利用 | 棚にはわせて日除けにします。開花後50日くらいたち、果梗が茶褐色になり、実が軽くなってきたころ収穫します。水につけ、皮や内部を腐らせ、タネをたたき出します。よく洗って、日に当てて乾かします。天然素材のタワシとして利用します。ヘチマ水は鎮咳、利尿剤、化粧水として用いられます。ヘチマの繊維は器物の洗浄、草履、靴の敷き皮など用途が多いです。 |